実名でのネット活用促す 総務省「悪の温床」化防止
ネットに関わる事だけにすでに大量のブログ記事が書かれているとは思うけど、あまりにも疑問点が多いというか、ツッコミどころ満載なニュースなので、あえて書いてみる。
「匿名性」という言葉を使ってるんだけど、どういうレベルの匿名性の事を言ってるんだろう?例えばネット上の掲示板にある書き込みがあったとする。掲示板の設置されているサーバーには、どういうIPから何年何月何日何時何分何秒に書き込みがあったというログが残っているはずだ。そして書き込んだ人はいずれかのプロバイダーを通して接続したはずだが、この時誰にどういうIPアドレスを割り振ったかはプロバイダーの記録に残っているはずだ。ただし、こういった情報は(プロバイダーなりと利用者の契約の範囲で)通常は公開されることはないから、そのレベルではこの掲示板上の書き込みには匿名性があるといえる。
しかし、これには一定の留保が必要だ。仮にこの書き込みが犯罪捜査の重要なカギになる事を裁判所なりが認めて、しかるべき令状が出れば、プロバイダーや掲示板の管理者から当局に情報が渡されることになるからである。
個人の権利と公共の福祉のトレードオフの観点から、現状に別段の問題があるとはおれには思えない。この現状をどう変えたいのか、この報道からは不明である。もちろん、前出の掲示板の書き込みの例には多くの抜け道がある。日本の当局の力が及ばない(及びにくい)海外のサーバーやプロクシーが絡んでくる場合である。しかし、これらを完全にあるいは50%でも排除するには中華DQN共和国並みの強権的な政策をやらない限り技術的に難しいと思うのだが、日本でまさかそんな事できないだろ。
それからこのニュースでは「匿名性」=悪な印象を受けるんだが、まあ確かに乱用されるケースもあるかもしれないけど、一方で民主主義というのは匿名性によって担保されてる側面がある。投票も匿名だし、匿名で意見を表明できる場っていうのは重要だと思う。それが気軽にできるようになったという点でインターネットの功績は大きい。おれは匿名性の害<<<<<利、だと思う。
「爆弾の作り方」とか自殺サークル云々ていう話もでてるんだが、この辺もよくわからない。先日、山口県で高校生が授業中に教室に爆弾を投げ込んだ。確かにショッキングな事件だけど、たまたま起きた特殊な事件を安直に政策に反映させるべきではない。インターネットは単に知識を与えただけであって、それで実際に爆弾を作って教室で爆発させようと思ったのはこの高校生の精神だ、という事を別にしても、政策ってのはもっとマクロ的・統計的見地で決定されるべき。爆弾の作り方=>悪の温床=>規制、っていう典型的なメディアに踊らされ系愚民的な思考回路で役人が報告書を書いてたんじゃなんだかな。
自殺にしたって、自殺サークルの話はたまに聞くけど、そもそもこの国では年間に交通事故死の三倍の自殺死があるわけで、こっちの統計的レベルの現象を先になんとかしろよ。昔々流行った「パーティーライン」で自殺が減少したって話を聞いたことあるけど、ネット上の匿名のコミュニケーションで自殺を思い留まってるやつだって案外多いかもしれないし。
一方で、話が逸れるけど、国が何かできるとすると、「私は怪しいものではありません」ということをネット上で証明する手段を提供することかな。まあ、民間でもできるかもしれないけど、もしかしたら国がやった方が効率よくできるかもしれないサービスだ。ネットオークション等で大いに使い道がありそうな気がする。