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2008年5月18日

『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

WALD9にて鑑賞。

映画館に行く前は宣伝を鵜呑みにして「お気楽チャランポラン議員が一念発起、がんばって歴史を変える!」みたいな感動娯楽映画を期待していたのだが、実際観るとそういう映画としては楽しめない。確かに主人公チャーリー・ウィルソン議員は努力の末、地元勢力に訓練と武器を与えてアフガニスタンからソ連軍を追い出す、という偉業を成し遂げる。しかし映画の最後のあたりではその数年後アフガニスタンで実権を握ることになるタリバンの影が示唆されているし、アメリカはソ連軍が出て行った後のアフガニスタンを安定させるための有効な手をなにも打たなかった、ということが描かれていてなんともビターな感じだ。ソ連軍を撃退するために訓練されたアフガニスタンの地元勢力がアルカイダの起源である、というよく知られた説も知識としてあるし。「塞翁が馬」の故事を引用している点で、映画もそのことに自覚的だといえる。

それからウィルソン議員も酒好き・女好きという点は確かにその通り描かれているけど、最初の方でクリスマスに消防署前に設置する聖母子像のことで陳情に来た男のあしらい方は見事だし、アフガニスタン支援のための予算獲得とかイスラエルやエジプトなどの協力のとりつけの過程で一貫した優れた政治手腕を見せ、ダメ議員というのとはほど遠い。ことが淡々とスムーズに進みすぎてこの映画を娯楽映画として観にくい一要因になっている。

それでは歴史の中からひとつながりの出来事を切り出してきて、その中の人間模様も交えながら、ひたすら硬派にできるかぎり客観的視点から描く、という例えばスピルバーグの『ミュンヘン』のような映画なのか、というとそういう映画にもなっていない。『ミュンヘン』になるためには、ソ連軍に対する一方的な極悪な描き方が邪魔なのだ。「ソ連軍のヘリ数機が飛来し、市民を虐殺。クルーは他愛もない雑談をしている。民兵が供与されたスティンガー・ミサイルで1機を撃墜。残りのヘリは全く予想だにしていなかった事態に大混乱に陥り、順次撃墜される。」というくだりは、これが娯楽映画だったなら最高にカタルシスの得られる部分なんだが。

80年代の描き方としても中途半端な感じで、当時のヒット曲などたくさん使うと面白かったと思うのだが、ピンと来たのはデビッド・ボウイの『レッツ・ダンス』だけだった。女の子のヘアとかファッションとかそっち方面にあかるい人が見れば、結構ディテールにこだわっていたりして面白いのかもしれないけど、私にはいまひとつ印象に残らなかった。

それでは『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』はダメ映画かというと、そういうわけでもない。ウィルソン議員と協力して計画を推し進めるCIAエージェント、ガストの役を務めるフィリップ・シーモア・ホフマンの演技が素晴らしい。ガストが初めてウィルソンのオフィスを訪れ、部屋を出たり入ったりするところとか、ウィルソン、ガスト、モサドのエージェントの3人で計画を練るところとかいいシーンがいくつもある。部分部分をみるとこの映画には第一級のシーンが多いのだ。40才になっても素晴らしいジュリア・ロバーツの水着姿も一見の価値あり。

2008年5月17日

condescend

今日の英単語

ときどき難解というかシンプルに日本語に置き換えにくい英単語に出会うことがあるけど、これなんかもそうだ。

con・de・scend vi 1 同じ目線の高さに立つ[でものを言う],高ぶらない,気さくにする: 〜 to inferiors 目下の者に丁寧にする / 〜 to do... いばらないで・・・する. 2 [悪い意味で]身を落とす,身を落として・・・する ;《優越意識から》<相手に>偉そうにする, 《腰は低いが》<相手を>下に見たふるまいをする : 〜 to meaness [little things] 身を落として卑しいこと[つまらない事]をする.

condescend・ing a 1 謙遜な,腰の低い. 2 腰は低いが人を下に見たような、偉そうな. 〜・ly adv

(研究社 リーダーズ英和辞典より引用/一部省略)

一見すると、偉そうなのか謙遜なのかどっちやねん?!という感じだよなぁ。

動詞、形容詞ともに1は単純な意味で2はその行為が醸し出す深い意味にフォーカスしている。2の方は「優越性の表現としてへりくだったり気さくにしたり下品な振舞いをする」といったニュアンスのようだ。日本語には慇懃無礼という言葉があってちょっと近い気もするが微妙に違う。これは英米というか特に英国の文化に深く根ざした言葉なんだと思う。

イギリスではとうてい自分の競争相手にはならないような格下の者には、自分に余裕がある限り、親切丁寧に接するのが紳士のたしなみとされているという。

それからこれもイギリス人だが、名門パブリック・スクール→オックスフォード大と進んだ、全身から上品オーラを発散している、まるで『炎のランナー』や『アナザー・カントリー』といった映画から飛び出してきたようなイギリス人青年が新聞を読みながらたいそう大げさなゲップをしたのを見たことがある。一般的には人前でのゲップは欧米では日本で以上に忌避される行為である。が、この場合はゲップによって彼の上品さがよりいっそう引き立ったような奇妙な感覚を覚えた。これなんか He condescended to belch. と表現すればぴったりくるのだろうか。ちなみにアメリカ人にはこんな高等ワザはできない。

2008年5月14日

SomaFM Tシャツ届く

SomaFMを聴いてると曲の合間にしょっちゅう「寄付しろ!」「Tシャツ買え!」「寄付金集まらないとコマーシャル入れなきゃならねぇんだよ!」と入るんだが、まあいつも聴いてるしTシャツくらい買ってやるかと注文した(メールの記録によると4月18日)。注文したらさっそく自動返信が届いて「Tシャツ注文ありがとう。気長にまて。一ヶ月経っても届かなかったらメールくれ」とあったので、気長に待ってたら本当になかなか届かなくて、これは催促のメールを送るはめになるかなと思い始めていたら、昨日届いた↓
somafmt.jpg

ステッカーも数枚同封されててちょっと嬉しい。

SomaFM(公式サイト)はサン・フランシスコ発の老舗インターネット・ラジオ局でiTunesにも登録されてるので知ってる人も多いと思うけど、選曲のセンスが良い、というか泣けるほど良い、というかもうほとんど異常。ここのところ音楽に関してはSomaFMだけで満足。SomaFMでかかっているのを聴いて買ったCDも何枚もある。

チャンネルは沢山あるんだが、お気に入りは主力チャンネルの"Groove Salad"とあと"Sonic Universe"だ。Sonic UniverseはもともとNils Petter Molvaer(公式サイト)とかEivind Aarsetとかのヨーロッパのアヴァンギャルド・ジャズをかけるチャンネルみたいなんだが、実際はかなりカバレッジが広い雑多なチャンネルでMiles Davisをかけてることあるし、ボーカルものとか、時々CharaやUAをかけてたりする。