『THE 有頂天ホテル』
三谷幸喜監督・脚本『THE 有頂天ホテル』(公式サイト, Yahoo!ムービー)を観た。映画館はお台場のシネマ・メディアージュ。
何度も大笑いしながら観た。
架空のホテルを舞台に、従業員や宿泊客たちが絡みあうドラマだ。基本的にはドタバタ喜劇で、アヒルのダブダブとか顔を白塗りしたままホテル内を彷徨うハメになった総支配人(伊東四郎)とかのお笑いキャラが繰返し画面に出てきて笑いを誘う。そうこうしているうちに、各登場人物の過去なり状況なりが交錯してきて、心温まるラストへと向かう。
次々人手を渡っていく幸運のアイテムの人形とか、細かい仕掛けが心憎い。娼婦役の篠原涼子の変身も「うわっ」て感じ。ただ、最後の方のかなり重要なオチのひとつで、映画観てる最中はわかりづらいのがあって、「ん?こういうことなのかな?」と思って、後で調べてやっと確認できたのがあった。
俳優の使い方は、割とその俳優の一般的イメージに沿ったのが多かったけど、前記の篠原涼子とオダギリジョーは意外性があって面白かった。
この映画みたいに、限られた空間の中で繰りひろげられる群像劇のことを「グランド・ホテル形式」と呼ぶ。その名の通り、1932年の映画『グランド・ホテル』によって確立された形式だ。この作法に則った映画作品は数多く、例えば『タイタニック』もそのひとつに数えられるだろう。『THE 有頂天ホテル』では、劇中のセリフや設定で『グランド・ホテル』にオマージュを贈っている。西田敏行演じる演歌歌手はグレタ・ガルボのバレリーナをちょっと思い出させるところがあった。ただ『グランド・ホテル』のやや辛らつで悲劇的な語り口に対して、『THE 有頂天ホテル』のそれはひたすら陽性で、「やなヤツ」キャラもラスト付近でいいところを見せたりする。ほとんど悪役のいない映画だった。